新型コロナウイルスの感染者拡大を受け、ウイルスの除菌・殺菌・消毒に効果がある「次亜塩素酸水」の人気が高まっています。
しかし、次亜塩素酸水の間違った作り方を解説したブログや動画が多数で回っており、大変危険な状態にあります。
そこで、この記事では薬剤師の資格を持つ次亜塩素酸水の専門家が「正しい次亜塩素酸水の作り方」について、詳しく・分かりやすく解説します。
この記事はこんな人におすすめ!
- 正しい「次亜塩素酸水の作り方」を詳しく知りたい方
- 「次亜塩素酸水の正しい作り方」について、薬剤師の資格を持つ専門家による、正確で分かりやすい解説を必要としいる方
- 新型コロナウイルス・インフルエンザ・ノロウイルスなどのウイルス対策として「次亜塩素酸水」を使いたい方
- 次亜塩素酸水を使ってウイルスの除菌・殺菌・消毒を行いたい方
次亜塩素酸水の細菌やウイルスに対する効果
- 次亜塩素酸水は、各種の病原細菌やウイルスに対して高い殺菌活性や不活化活性を示す
- 病原細菌・ウイルスに対しての殺菌活性や不活化活性は、消毒用アルコール(70%)より高く、次亜塩素酸ナトリウム(0.1%)と同等
- 次亜塩素酸水は、新型コロナウイルスに対しても有効性を示すと推察できる
- 次亜塩素酸水は、人体に対しても環境に対しても安全性が高い
- 次亜塩素酸水は、広範な細菌やウイルスに有効性を持ち、器具や環境の消毒・殺菌に使用することは最も適している
- 次亜塩素酸水で手洗いしても手が荒れる心配が少ない
- 次亜塩素酸水による手洗いは望ましい効果を期待できる
次亜塩素酸水の作り方
次亜塩素酸水は、食品添加物(殺菌料)に指定されています。
食品添加物としての次亜塩素酸水の有効塩素濃度は、10~80ppmです。
食品添加物ではない除菌水としての次亜塩素酸水では、80ppm以上の製品も製造・販売されています。
次亜塩素酸水の作り方(1)
次亜塩素酸水の作り方には主に2つの方法があります。
一つ目は、塩酸 または塩化ナトリウム水溶液を電気分解することで生成する方法です。
次亜塩素酸水を電気分解で生成するためには、次亜塩素酸水専用の生成装置・精製装置・生成器・生成器が必要です。
次亜塩素酸水の作り方(2)
二つ目の方法は、次亜塩素酸(HClO)を水に溶かして生成する方法です。
ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム・次亜塩素酸カルシウムなどを水に溶かすことで次亜塩素酸水を生成することができます。
【注意】次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウム水は全くの別物
次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウム水は全くの別物です。
絶対に間違えないように注意しましょう!
YouTube動画・ブログなどで、「ハイター・ミルトン・ピューラックス」などの消毒剤を水で希釈すると次亜塩素酸水が作れるという解説がたくさん出回っています。
しかし、この解説は大きな間違いです。
ハイター・ミルトン・ピューラックスなどの消毒剤は、次亜塩素酸ナトリウムを主成分としています。
一方、次亜塩素酸水の成分は次亜塩素酸です。
次亜塩素酸と次亜塩素酸ナトリウムは名前は似ていますが、全く異なる物質です。ハイター・ミルトン・ピューラックスなどの消毒剤を水で薄めても次亜塩素酸水は作れません。
ハイター・ミルトン・ピューラックスなどの消毒剤を手洗い・空間除菌などに使用してしまうと健康被害につながりますので注意してください。
「ハイター」や「キッチンハイター」から次亜塩素酸水が作れるの?
ハイター・キッチンハイターを希釈することで次亜塩素酸水が作れると解説したブログやYouTube動画が多数見受けられますが、この情報は誤りです。
ハイターやキッチンハイターから「次亜塩素酸水」を作ることはできません。
次亜塩素酸水は、塩酸又は塩化ナトリウム水溶液を電解することで作られる次亜塩素酸を主成分とする水溶液です。
また、次亜塩素酸水の液性は酸性です。
一方、ハイターとキッチンハイターは、次亜塩素酸ナトリウムを主成分とした塩素系漂白剤で、液性は非常に強いアルカリ性です。
次亜塩素酸水とハイターは全くの別物(成分が全く異なる)
- 次亜塩素酸水は、次亜塩素酸を主成分とする水溶液で、液性は酸性
- ハイター・キッチンハイターは、次亜塩素酸ナトリウムを主成分とした塩素系漂白剤で、液性は非常に強いアルカリ性
【花王からの告知・注意喚起】「ハイター」や「キッチンハイター」から「次亜塩素酸水」を作ることはできません。
ハイター・キッチンハイターの製造販売元である花王からも以下のような注意喚起の告知がなされています。
■「ハイター」や「キッチンハイター」から次亜塩素酸水が作れるの?
「ハイター」や「キッチンハイター」から「次亜塩素酸水」を作ることはできません。
「次亜塩素酸水」は殺菌料の一種であり、塩酸又は塩化ナトリウム水溶液を電解することにより得られる次亜塩素酸を主成分とする水溶液です。液性は酸性で、用途などによって微酸性、弱酸性,強酸性などに調整されています。
「ハイター」と「キッチンハイター」は次亜塩素酸ナトリウムを主成分とした塩素系漂白剤で、液性は非常に強いアルカリ性です。
成分、液性ともに「次亜塩素酸水」とは異なりますので、これらの製品を薄めても「次亜塩素酸水」を作ることはできません。
また、他の成分と混合することで「次亜塩素酸水」を作ることができるどうかの確認もしておりません。
「ハイター」と「キッチンハイター」を薄めた液や、他の成分と混合した液を「次亜塩素酸水」の代わりに使用することは避けてください。
思わぬトラブルを招く場合があります。
※「ハイター」「キッチンハイター」などの塩素系漂白剤は十分な注意が必要な製品です。
※酸性タイプの製品や塩素系の排水口ヌメリ取り剤・生ごみ・食酢・アルコールと混ざらないようにしてください。
※有害なガスが発生して危険です。
※また、目に入ると、薄めた液でも失明するおそれがあります。